概要
近年、分散型取引所(DEX)は急速な成長を遂げており、特に非委託型、本人確認(KYC)を必要としないDEXソリューションに対するニーズが高まっています。勿論、数多くの課題を克服したからこそ、今に至ることが可能になりましたが、それでもDEX業界には未だに多くの問題が取り残されています。
その中で、最も重要視されている問題と言えば、流動性の分断とマルチチェーン制限によるDEX効率の低下です。これらの問題は、最終的にトレーダーのコスト増に繋がり、至急解決しなければならない問題としてしょうちゅう取り上げられてきましたが、この問題を解決するために打ち出された最初のソリューションが、ApeX Omniです。
ApeX Omniは、モジュラー構造と意図中心とした設計に基づいて構築された、マルチチェーン流動性を一元化したトレーディングフレームワークです。ユーザーのニーズに応じて設計されたApeX Omniは、中心化取引所に匹敵するシームレスなマルチチェーン取引インターフェイスと、コスパの高いトレードサービスを提供することになります。今後の展開としては、スポット取引プラットフォーム、無期限先物ペアを取り扱うプレマーケット取引、流動性を供給するためのコミュニティボールト、Soul Bound Tokens(SBT)を活用したソーシャルトレーディングプラットフォームの導入が計画されています。
マーケット動向
DeFiエコシステムの市場シェアは従来と比べて大幅に拡張しており、現在(執筆時点)、様々なプロトコルによるTVL総額はすでに94.91十億ドルに達しています。この成長は、ほぼDEXによってもたらされたものであり、ユーザーは中心化取引所に頼ることなく、トレードを実行できるようになったことを意味しています。
2023年、DEXの取引量は9700億ドルを超えており、利用者の増加と投資家の関心が高まっていることが明らかになりました。この勢いは2024年も継続し、DEXの利用が増え続けています。
2021年から2023年までのCrypto.comの調査によると、2022年の世界の暗号資産利用者数は39%急増し、1月の3億600万人から、12月の4億2500万人までに急増しました。この傾向は2023年も続き、12月には5億8000万人、計34%増加しました。

暗号資産ユーザーの推移と、DEXユーザー及び関連プロジェクトのデータを比較すると、市場は徐々に分散化プロジェクトへと移行していることが明らかです。2021年から2022年までの間に、DEXユーザーは3500万から7000万人に倍増し、2022年から2023年には7000万から1億1000万人に成長しました。

現在、強固なアーキテクチャ、高い処理能力、取引コストの低減、革新的なインセンティブシステムなどによって注目を集めているいくつかのプロジェクトが現れました。この現象は、DEX領域がどのように進化しているかを示しおり、ユーザーや投資家の多岐にわたるニーズに対応するために、柔軟に対応できるソリューションが如何に重要なのかを浮き彫りにしています。
現行モデルの限界
DEXは著しく発展している一方、様々な課題も抱えています。現在のDEXモデルには流動性の分断やマルチチェーン取引機会の欠如など、いくつかのデメリットや制約があり、より効率的でユーザーフレンドリーなDEXを構築するためには、更なる改善が必要です。
流動性の断片化
DEX内の流動性の断片化は、市場の効率性とユーザーエキスペリエンスに影響を与える重要な課題をもたらします。DeFiにおいて、流動性はスムーズで効率的なトレードを可能にするための役割を果たしています。流動性の断片化により、DEXトレーダーはマルチチェーン資産管理を行う必要があるため、資本の割り当てを行う際に複雑さと非効率性が生じており、最適化戦略を組み立てることが難しくなっています。
Web3環境が成長を続ける中、流動性の分断という問題は依然と解決されておらず、これは分散化エコシステム内での効率的な取引や資産移動を阻害しています。2019年から2024年にかけて、ブロックチェーン技術は急速に成長しており、それに伴って新たなブロックチェーンも大幅に増加しました。その数は、2019年の10から2024年の274に達しました。
ただし、それぞれ異なるコンセンサスとプロトコルによって構築されたブロックチェーン・ネットワークの登場によって相互交換性に限界が見えてきました。従って、マルチチェーン操作の複雑性を解決できる、一元化されたユーザーインターフェースと、マルチチェーンをアグリゲートしたインフラに対するニーズが高まっています。
マルチチェーン取引の可能性
DEXの2つ目の課題は、マルチチェーン取引の機会が限られていることです。
ユーザーの資産は複数のブロックチェーンエコシステムにまたがって存在しますが、多くのDEXは単一のブロックチェーン上でのみ運用されるため、異なるチェーン間での資産の交換が難しくなっています。この状況は、DEXがさまざまなチェーンにわたる取引の要求に幅広く対応する能力を制限し、その結果、ユーザーは複数のチェーンにある資産管理を強いられ、資本の効率性が損なわれるという問題を引き起こしています。つまり、異なるブロックチェーン間でのスムーズな資産取引を実現することができず、ユーザーエクスペリエンスや市場効率に悪影響を及ぼしているのです。
さらに、異なるプラットフォーム上で暗号資産を取引するためには、トークンをラッピングしたりブリッジを使用するなどの煩雑な手続きが必要です。これらの複雑なプロセスは、コストの増加、取引オプションの制限、そしてユーザーの利益の低下をもたらしています。従って、DEXエコシステム内でよりシームレスで統合されたマルチチェーン取引が可能なインフラの必要性が明らかになりました。つまり、ユーザーエクスペリエンスを改善し、効率性を高めるために、異なるチェーンを横断してスムーズな取引が行えるようなインフラストラクチャが求められているわけです。
課題への取り組み
ApeX Omniは、上記で述べた課題を解決するために構築された分散型取引所(DEX)ですが、中央集権型取引所の利便性と取引ペアの多様性を提供することを目指しています。これには豊かな流動性と多様な取引ペアが含まれるため、ユーザーは効率的に取引を行えます。また、ApeX Omniは「意図中心の体験」を提供していますが、これはユーザーの意図やニーズに直接対応することに重点を置くという意味です。
つまり、ApeX Omniはユーザーが複数のブロックチェーンにわたって簡単に資産を取引できるようにするためのプラットフォームを提供しており、複雑さを解消し、ユーザーが望む取引ペアを反映した製品ラインナップを通じて、より使いやすいDEX体験を実現していくつもりです。
ApeX Omni
ApeX Omni、DEXのあり方を再定義:
モジュール設計による柔軟性:モジュラーデザインとは、システムや構造を個々のモジュール(部品またはブロック)で構成し、変更や拡張が容易になる設計のことです。この設計により、ApeX Omniは市場の要求に対して柔軟性と適応性を持ち、速やかに市場のニーズに合った製品を提供することが可能になります。それにより、ユーザーは自身の取引戦略を最適化し、利益を最大化させることが可能になります。
マルチチェーン流動性を集約:ApeX Omniは異なるブロックチェーンをまたがる資産(トークン)を取引できるようにするシステムです。これにより、一つの場所から複数のブロックチェーン上にある多くの資産に対して、容易にアクセスして取引を行えるようになります。「zk-linkエンジン」という技術を利用して、異なるブロックチェーンのレベル(L1やL2と呼ばれる層)につながり、それらのブロックチェーン上のネイティブトークン(各ブロックチェーン固有の資産)にアクセスして、リストに追加します。このリストを通じて、ユーザーは様々なブロックチェーンの資産を一つのインターフェースから取引することができ、それぞれのブロックチェーン間で資産を移動させるための作業や手数料が不要になります。つまり、もっとシンプルで、リスクや手数料が低い取引が可能になります。
意図中心のアプローチ:「意図中心のアプローチ」という言葉は、ユーザーの意図やニーズを中心に考えたアプローチを指します。ApeX Omniはこの考え方を採用しているDEX(分散型取引所)を導入しており、中央集権型取引所が提供する利便性と多様性を反映させることを目指しています。ユーザー中心のアプローチでは、トレーダーのニーズや嗜好をスムーズに満たすことを優先しており、特定のブロックチェーンに依存しない取引体験が提供されます。これにより、複数のブロックチェーンネットワークを横断して、ユーザーが求める取引をシームレスに行えるようになります。
多様な製品ラインナップ:ApeX Omniは現物取引(spot trading)、流動性の提供、デリバティブ(derivatives、金融派生商品)、ソーシャルトレーディングなど、分散型エコシステム内でユーザーが必要とする多様なニーズに合わせた幅広い取引製品を提供しています。
非委託型:ApeX Omniは、統一されたインターフェースを通じて、ユーザーに自分の資産を管理させることに重点を置いています。分散型のアプローチを採用することで、ApeX Omniはセキュリティと透明性を高め、ユーザーが信頼を持って安心して取引ができるようにしています。これにより、ユーザーは単一のウォレットを使用してマルチチェーントークンポートフォリオを簡単に管理できるので、ユーザーエクスペリエンスが効率化されます。つまり、ユーザーは多くのブロックチェーンにわたる資産を手間なく一箇所で管理することができ、そのプロセスはセキュリティが高く、透明性があり、使いやすいものとなっています。

ApeX Omniアーキテクチャ
ApeX Omniは、モジュラー(組み換え可能な)、マルチチェーン(複数のブロックチェーンをまたがる)、意図駆動型のインフラストラクチャーを採用しており、マルチチェーンのネイティブトークンのシームレスな同期を可能にしています。このアプローチにより、拡張性と柔軟性が向上し、手数料が削減され、ゼロ知識証明によって資産のセキュリティが保証されます。
下記の図表に示されている通り、ApeX Omniのモジュラー型インフラストラクチャーは3つの異なる層で構成されています:それぞれ、アクセス層、アプリケーション層、ブロックチェーン層です。

アクセスレイヤー: このレイヤーは、ユーザーがアクセスするフロントエンドのインフラです。ApeXウェブ、モバイルアプリ、H5、Telegramなど、さまざまなプラットフォームからApeXへのユーザーアクセスを管理し、シームレスなインタラクションに必要なその他の重要なアプリケーションやウォレットインフラストラクチャも提供します。ユーザーは、EOA、AA、MPCウォレットなどの多様なウォレットタイプを採用したり、ApeXビルトインウォレットやTelegramビルトインウォレット等を利用することが可能です。更に、ユーザーはAPIを介して直接プラットフォームにアクセスすることができ、アクセシビリティとユーザビリティが向上します。

アプリケーションレイヤー:このレイヤーは、ApeX Omniが提供する多様なアプリケーションで構成され、さまざまなユーザーのニーズや嗜好に対応します。このレイヤーに含まれる主要なアプリケーションには、スポットおよびデリバティブ取引プラットフォーム、ソーシャル取引機能、ステーキングプログラム、コミュニティ保管庫、およびユーザーエクスペリエンスを向上させ、DeFiエコシステムの需要を満たすように設計された、様々な機能が含まれます。

ブロックチェーン・レイヤー:このレイヤーは、ApeX Omniをサポートするブロックチェーンインフラストラクチャーであり、様々なアプリケーションの利用と実装を容易にします。これにはいくつかのコンポーネントが含まれています。

決済レイヤー: 主に様々なパブリック・ブロックチェーン・ネットワークで構成される決済レイヤーは、証明の検証を行い、ApeXアプリケーションのトランザクションが確定・記録される場所です。
データ可用性レイヤ: このレイヤーは、ApeXアプリケーションによって生成された様々なトランザクション関連情報を保存します。トランザクションとユーザーインタラクションに関連するデータは保存され、検索と検証のためにアクセスレイヤー内で利用できるようになります。
実行レイヤー: トランザクションの実行と決済証明の生成を担う実行レイヤーは、ApeXアプリケーションのシームレスな運用を保証します。トランザクションを効率的に処理し、トランザクションの結果を検証するために必要な検証メカニズムを提供します。実行レイヤーとして、ApeX OmniはzkLinkエンジンを活用しています。
ブロックチェーンアプリケーションレイヤー: このレイヤーは、ApeXエコシステム内の様々なDeFiプロトコルを統合します。DEX、ソーシャルトレーディング機能、イーサリアムネームサービス(ENS)、デジタルアイデンティティ(DID)、ノン・ファンジブル・トークン(NFT)のサポートなど、多様な機能が含まれています。
ApeX Omniは、異なるブロックチェーンネットワーク上の資産を一か所で簡単に取引できるプラットフォームです。これにより、いくつかのブロックチェーンにまたがる流動性の問題や複雑なマルチチェーン取引の問題を解決できます。ApeX Omniは柔軟で改善しやすいシステムを使用しているため、コストを抑えつつ、ユーザーがより効率的に資本を利用できるようにします。また、ゼロ知識証明技術を使用してユーザーの資産を保護しています。
このプラットフォームを使用することで、ユーザーは中央集権型取引所に近い体験を得られますが、それでいて強固なセキュリティ、低いコスト、そして異なるブロックチェーン間でのシームレスな操作性を楽しむことができます。簡単に言えば、ApeX Omniを使えば、様々なブロックチェーンの資産を一つの場所で手軽に、安全に、そして効率的に管理・取引できるようになり、新しい金融の可能性を広げることができます。
製品ロードマップ
ApeX Omniは、DeFiのユーザーエクスペリエンスを再定義する革新的な製品群を紹介します:
現物(スポット)提供:ユーザーがUSDTを入金した後、様々なチェーンの取引に参加できるようにしています。チェーンごとの条件、ガス料金、取引ルートの違いなどの複雑さを排除することで、トレーダーは様々なチェーンで取引を楽しむことができます。
デリバティブ: ApeX Omniでは、リスクヘッジ、値動きへの投機、取引の可能性を最大化するための幅広いデリバティブ商品が提供されます。
プレマーケット取引:ApeX Omniは、プレマーケット取引機能を導入しました。これにより、参加者は公式の発売/上場前に資産を取引することができます。これにより、DEXトレーダーは初期のヘッジや新興市場トレンドの活用の機会を得ることができます。
コミュニティボールト: ApeX Omniの民主化された流動性プールは、DeFiユーザーに向けた収益機会を解き放ち、APEXのガバナンストークン保有者にはより大きな収益をもたらします。
ソーシャルトレーディング:ApeX Omniは、Web3における分散型ソーシャルトレーディングへのゲートウェイを確立することを目指しています。一次取引情報にアクセス、トップトレーダーの戦略をフォロー、革新的なApeXソーシャルフレームワークを通じて報酬を獲得、そして、Omniポイントシステム、ApeXソーシャルポイント等を通じて収益を最大化することができます。このプログラムの中心にあるApeXのSoulbound Tokens、通称ApeSoulは、トレーダーが自分の資産と取引活動を完全に制御できるようにしており、すべての参加者に透明な環境を提供しています。

最後
ApeX Omniは、モジュラー型、マルチチェーン型、意図中心のアーキテクチャにより、DeFiを再定義していきます。流動性の強化、より便利な取引ツールと多様な取引ペア、パッシブ収益の強化、そして充実したソーシャル機能によってDEXの可能性を最大限に引き出すことで、ApeX OmniはDeFiの未来を形作る先頭に立つ準備が整っています。